外食分野の特定技能受入れ停止について

報道されてますとおり、外食分野の特定技能外国人の新規認定申請の受理が停止されました。今年の2月時点で外食分野の特定技能人数は4万6千人となっており、同分野の受入れ上限人数5万人に迫っておりました。このため、農水省と出入国在留管理庁は4月13日からの新規認定申請の受理を停止いたしました。

特定技能「外食業分野」における受入れ上限の運用について(出入国在留管理庁)

そもそも特定技能の受入れ人数枠はなぜ設定されているのでしょうか。
特定技能の制度趣旨として、生産性向上や国内人材確保に努めてもなお人手が不足する場合に、当該職種分野の特定技能の受入れを認めるという建付けになっています。
 受入れ上限人数(各分野別)=(5年後の人手不足)ー(生産性向上+国内人材確保)
受入れ上限人数は、制度施行から5年ごとに見直しされており、直近5年間(2024~2028年度)の各分野の上限枠は下記のとおりとなっています。

(読売新聞より抜粋)

直近の受入れ人数枠は28年度末(29年3月)までの運用となっているため、外食分野は最大で3年程度受入れが停止する可能性があります。一方で全体の受入れ枠は80万人あり、全体の在日人数は40万人弱と上限値を大きく下回っています。各分野に割り振った受入れ人数枠にバランスを欠いているのではないかとの指摘もありますが、そうではない可能性もあります。報道によると農水省には「外食業界は、生産性向上や待遇改善の努力が足りていない」との声があるようで、こうした考えも影響していると見ることもできそうです。

さて、弊組合の組合員の主要産業分野である飲食料品製造業への影響はどうでしょう。また、その影響をどのように解消していくべきか、一旦初歩的なポイントを整理し、今後の対応方針の策定を進めてまいります。

【飲食料品製造業分野の現状と影響】

  • 飲食料品製造業の直近受入れ上限枠は13万3500人。2025年12月現在約9万3千人。(上限値の7割弱)
  • 現在のペースで受入れが進んだ場合、飲食料品製造業も2028年2月頃には受入れ上限枠到達の見込み。
  • 新規受入れ停止となった外食分野を志望していた外国人材が介護や宿泊、飲食料品製造業へ志望変更する流れが起こる可能性があり、上記の受入れ上限枠到達の時期も前倒しになることもありえる。

【その他分析要因と今後の対応方針(仮)】

  • 特定技能制度は5年に1度の見直し期が設けられており、受入れ上限枠も5年ごとに設定される。現在の上限枠は2024~2028年度の受け入れに適用されるが、2029年度からの5年間は上限枠も再設定され、日本の人口減少傾向を踏まえ、おそらく前5ヵ年より増員される可能性がある。
  • 飲食料品製造業の受け入れ上限枠は2027年度中に使い切ってしまう可能性が高く、このデッドラインに向けて受入れ計画を前倒しで進めていく必要がある。(なお現行の政権では在日外国人に対する厳格管理がテーマとなっており、期中での受け入れ枠緩和は想定しにくい)
  • 2027年4月より育成就労制度が施行され、新たな在留資格で外国人材を受入れすることができる。これまでの影響要因を考慮すると、人材の出入りが激しい企業や今後大幅に増員を検討される企業は、この育成就労外国人の受け入れを並行して進めていくことが対応策の第一となる。
  • そのうえで、現在在籍している技能実習生の着実な特定技能への移行、国内に在住する特定技能外国人のリクルート、を戦略的に実施していくことが必要。(受入れ上限枠に近づくと、当局は母国からの新規認定申請より、在日のすでに在留資格を持つ人材の申請を優先する。このため、「今、日本にいる人材」を大事にする姿勢が必要。)
  • 国内在住の特定技能外国人の採用はこうした背景から競争が激化する見込み。在籍の技能実習生も含めて、魅力ある就業環境や給与待遇を作り上げていくことが今後の人材確保のためには一層重要となってくる。

外食業に関連する有効求人倍率は約2.3~2.4倍と、全産業平均の1.13倍を上回る状況です。新規高卒就職者の3年以内の離職率も全産業平均の37.9%を上回る64.7%(宿泊含む)となっています。また従業員の多くをパート・アルバイトに依存し、長時間労働や低賃金など待遇面の課題が指摘されています。慢性的な人手不足が続いている外食業界では安易に外国人労働者に頼ってしまう傾向が強まったのではないでしょうか。2025年度の特定技能外国人は2024年度比で37%増となっていますが、外食業では同5割増と突出しています。飲食料品製造業に限らず、外食分野の推移を反面教師としながら、より良い就業環境を整備していくことがこれからの課題となります。

あさひねっと協同組合では、上記の対応方針を具体化し、組合員企業のスムーズ・シームレスな人材確保を目指し、準備を進めております。外食分野の新規受入れ停止は発表から実施まで2週間強と採用企業の準備期間が全くとれない事態となってしまいました。他分野の受入れ企業・団体としては事前にリスクの把握ができた分、万全な準備を図ることができます。
各受入れ事業所様と適宜、協議を行い、対応を前倒しで進めてまいります。